コンパクトにテナント開業(動物病院開業支援) | 2015年2月3日 |  |
| 2015年よりテナント新規開業にコンパクト開業サービスを追加しました。従来より、独立開業を希望する獣医師の先生方には無料見積サービスを展開しており、テナントや土地が見つかり、契約等に目処が立った段階でテナント・土地の調査と先生方へのヒアリングを行い、動物病院の平面図と概算見積り提案を続けておりますが、近年は移転や新規開業、分院開業とテナント動物病院も形態が多様になってきており、新規開業においても、テナント面積が十数坪から40坪超、動物病院の希望室数や要望する設備、仕上げのこだわり等、年毎に要望の幅が広くなってきています。すべてのテナント動物病院開業の先生方に一律に対応すると提案する内容は中庸となり、中庸を目指す提案内容は“帯に短したすきに長し”となります。 テナント新規開業コンパクトサービスは建築費用を抑え、テナントの設計から工事までを短期間で終了し、テナント開業までにかかる費用・時間を縮小・短縮したい先生方に向けたサービスです。 新規動物病院開業を低予算・短期間で行いたい獣医師の先生方の要望に応えるべく、新規開業動物病院が最低限機能するための建築設備と建築費用を最小限に抑えるためのシンプルなプラン提案と無駄を省いた設計を提案し、新規開業のテナント動物病院の後押しをすべく、コンパクト開業サービスを立ち上げましたので、興味をお持ちの先生方はお試し頂ければ幸いです。 動物病院開業支援サービス 新規開業テナント動物病院向け コンパクトサービス |
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| マーク動物病院 設計監理：ジュンメ建築設計事務所 |
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もう少し色合いを | 2015年2月2日 | |
| 何の話かと申しますと動物病院に使用するビニルクロスの話です。動物病院の壁に使用できる材料は適切な強度と臭いの吸収や毛の吸着を起こさない材料が求められます。さらにメンテナンスが容易で適度な価格の仕上材料があればこれはもう使用したほうが良い材料になることを請合います。待合室や受付はお客様を迎える空間としてある程度のレベルまで設える覚悟を持っており（クライアントと設計者両者とも）予算もかけていこうと意気込むことができますが、動物病院全体の壁、殊にワークゾーンの壁仕上げとなると動物病院の使用に耐え得る程度の強度と、可能であるならば出来るだけ廉価な仕上材を使いたいと思っている先生方が多数と思います。設計者としてもその気持ちは十二分に承知しており、ワークゾーンの仕上は機能と安価が第一、その他の材質や色彩、メンテナンス性能は後回し･･･というよりは解かっていながらも盲目を貫く状況になりかねないのが現状です。 いくつかのビニルクロスメーカーより表面強度の高い耐久性ビニルクロスが出されていますが、残念ながら高耐久ビニルクロスの種類は少なく選定可能な色幅と言えば白から淡いベージュ程度と貧弱な内容です。設計するものとしてはビニルクロスの質感等に多くの種類を要望する気は毛頭ありませんが、商業建築に使用できるビニルクロスとしては多様な色幅と色味程度は少なからず用意していただけると設計の幅も広がるであろうと思うこの頃です。 |
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| マーク動物病院 設計監理：ジュンメ建築設計事務所 |
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24時間換気扇 | 2015年1月31日 | |
| 住宅では24時間稼動する換気扇をトイレや浴室に取り付け、居室全体の機械換気を行います。動物病院でも24時間稼動する換気扇を取り付けます。24時間換気扇の取り付け位置は動物病院の規模や平面計画によって変わることもありますが概ねクライアントゾーンのトイレとワークゾーンの入院室に設けることが多くなります。小さな面積の動物病院の場合は入院室のみに24時間換気扇を取り付ける場合もあります。24時間換気扇は院内で汚れた空気を、新鮮な外気と室温を保ちながら適度に入れ替える機能を持つ換気扇です。動物病院では汚染空気（臭気のこもった空気）はおもに入院室から排出されます。入院室の臭気を適切に外部に排出するために入院室には24時間換気扇を取り付け、入院室へ適度な温度で適度な湿度の空気を常時流し込む状態にします。文章で書くと実に簡単そうに思えますが、適温・適湿の空気を適切に給排気するのは建築的には難易度が高い作業です。 24時間換気扇からの空気の排出で動物病院全体の空気の流れをつくり、クライアントゾーンからワークゾーンに至る動物病院内の環境を整えるのが動物病院の換気計画の基本です。24時間換気扇の設置はすこぶる重要と考えています。 |
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| たまプラーザ動物病院 設計監理：コモダアトリエ |
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新陳代謝があってこそ | 2015年1月13日 | |
| 何事も競争原理が働いて質の向上や底上げに繋がっていくことが資本主義経済の原則と思います。動物病院とてその中の一つですから、動物病院を開業すれば開業した数の動物病院がすべて順風満帆に客足を伸ばして、潤沢に潤っていくわけではないと思います。動物病院への客足が開業当初より順調に増加し、一定の固定客を確保し、動物病院の運営が成り立っていく状況になるまでには、月並みな言葉ですが、数え切れないほどの山と谷があり､想像を超える試練も待ち受けているものと想像します。 一方、動物病院を利用する側にとって、動物病院数が増えることは好ましいことです。ペットと共に生活する世帯の近隣に複数の病院ができることは、今まで比較対称が少なかった動物医療を比較できる状態になり、病気の予防や健康維持に関して新たな示唆が得られます。セカンドオピニオンを得られる機会も増えますから､選択可能な医療の幅が広がり、ペットの健康予防や健康促進にとってもありがたいことだと思います。 新規動物病院が近隣にできることはお客様にとっては嬉しいことなのですから、既存の動物病院に通うお客様、あなたの動物病院に通うお客様にとってもうれしいことなのです。お客様にとって嬉しいことならば、既存の動物病院にとっても嬉しいことにしていけばよいと思います。さて、どのようにすると既存動物病院にとって嬉しいことになるのかは、じっくりと考えていただくしか回答はありません。あしからず・・・。 |
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| オーシャン動物病院 設計監理：ジュンメ建築設計事務所 |
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2015年 | 2015年1月4日 | |
| 2015年です。東京オリンピックと公共投資増額を受け建築業界は職人の取り合いで人件費が上がり、円高の影響で建築資材が上がっています。旧式の政治形態を懐古する人達によって経済成長戦略路線という看板を掲げつづける方々と看板に縋り続ける方々が今年も跋扈する様相を呈しています。日本は何処へ行くのやら、アメリカの顔色を見ながら船頭を務める方々も羅針盤が壊れかけているようで、舵取りが覚束なくなってきているようにも思えます。 昨年は東京近郊以外の日本各地から動物病院設計依頼を頂き、多くの経験を積むことができた一年でした。富山県の黒部市で壮大な山並みを眺め蛍烏賊をいただき、長崎市で海援隊のアジトに登りサバシャブを摘み、栃木県の日光でイタリア大使館別館から中禅寺湖の紅葉を堪能し、長野上田の戸倉温泉の湯で疲れを癒し、仙台の国分町で三陸の魚をご馳走になりました。（動物病院設計の蓄積も少なからず積んでいることと思います・・・） 動物病院や動物病院併用住宅の設計を日本全国で継続していられるのも、獣医師の方々に支えられているおかげです。 2015年、ＡＣプランはテナント動物病院や戸建動物病院、動物病院併用住宅や動物病院の増改築・リニューアル設計に尽力し獣医師の先生方が希望を実現できる様、皆様の支えになっていく所存でおります。ご利用をお待ちしております。本年も宜しくお願い致します。 |
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| 黒部ダムから |
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換気扇の使用方法(2) | 2014年12月4日 | |
| 元来、動物病院内の換気は24時間スイッチがついている換気扇を常時使用しながらゆっくりと穏やかに外気取り入れ口新鮮空気を取り入れ、排気口である換気扇までの空気の流れをつくることにあります。ゆっくりとした空気の流れに乗って室内の汚染空気や湿度や埃が換気扇から徐々に排気される状態を作り出します。したがって入院室やトイレ以外の換気扇の使用頻度を上げると動物病院内の空気の流れは渋滞し院内に臭いがこもる状況を作り出します。臭いがこもると言うことは院内で発生した湿度も埃も滞留し、思わぬ場所で結露を発生させる要因にもなります。 目には見えませんが､空気の道筋を乱すことは院内の結露発生を助長し建物の劣化を早めることにもなります。加えて余分な湿気が院内に溜まり続けると院内環境も損なわれることにも繋がります。動物病院には数多く換気扇が取り付けられていますが、そのすべてを一時に使用したところで何の意味もなしません。入院室やトイレ以外の換気扇は何らかのトラブルやアクシデントで室内に異臭が発生した際に一時的に使用するために取り付けられているものです。すべての換気扇が常時稼動を目的として取り付けられているわけではありません。院内換気扇の使いすぎには注意して頂きたいと思っております。 |
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| とふろう動物病院 客用トイレと客用洗面 |
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換気扇の使用方法(1) | 2014年12月3日 | |
| 換気扇の使用方法がわからない方はいないと思います。換気扇は換気扇のスイッチを入れると作動し室内空気を外部に排出します。換気扇が室内空気を排出するということは、室内に入ってくる空気があるということです。室内に入ってくる空気は外壁周りに開けられた給気口から取り入れられます。換気扇を使用する部屋が外気に面していない場合は天井に給気口を取り付け天井内にダクトを設置して外気に接する壁までダクトを伸ばし室内に外気を取り入れます。換気扇と給気口が1対1の関係では、換気扇の強弱スイッチの入れ替えによって給排気される空気の量は換気扇の強弱スイッチに連動します。 動物病院の場合、1ヵ所の給気口が複数の換気扇の動きに対応するよう設置されています。たとえば入院準備室に面する入院室が3室あり、入院室3室には強弱切り替えスイッチ付換気扇が天井に付いています。入院準備室には給気口が設置されており、換気扇もついています。1ヵ所の給気口に対して4箇所の換気扇が連なっている状況です。動物病院の換気の考え方は臭いの発生元の部屋から少しずつ空気を出すことです。したがって各々の入院室の換気扇からは持続的な少量排気が理想です。少しずつの排気とは換気扇のスイッチが“弱”あるいは“24時間換気”の状態です。3つの入院室の換気扇が常時“弱”の状態で排気を行い、入院準備室の給気口からは3つの入院室から排気される空気の総和と同量の外気が常時入ってくる状態です。通常、この状態を持続することで院内空気の入れ替えが均等に行われ、院内の臭い問題は発生しないのですが、入院準備室で換気扇を使用しなければならない状況になった場合に入院準備室の換気扇のスイッチを入れると空気の流れは入院準備室給気口から入院準備室の換気扇への流れが本流となり隣接する3室の入院室には空気の流れが悪くなります。さらに同時に入院室の1室に異様な臭いが発生し換気扇スイッチを“強”にした場合は空気の流れは混乱し、あろうことか、もう１室の入院室換気扇が“強”になると入院準備室の給気口だけは給気が間に合わず、“弱”で回っている換気扇から空気が逆流する状態にもなりかねません。 臭いを排出するはずの換気扇から外気が逆流するようでは本末転倒です。 |
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| さかきペットケア 入院室と入院準備室 |
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ＡＣプランはガランドウ | 2014年12月1日 | |
| 動物病院の計画を依頼された先生方から時折つぶやかれる言葉があります。“ＡＣプランの作る動物病院はガランドウと聞いたのですが・・・”言い得て妙とはこのこと、“ＡＣプランはガランドウ”は何処のどなたが口にした言葉かは解かりませんが、ＡＣプランの動物病院設計を語る上で非常に適切な言葉であると感じています。 動物病院設計を始めた当初、動物病院設計及び施工は一部の開業コンサルタント・設計事務所及び建築業者の独断場的状況を呈していました。動物病院の開業は時間とお金と専門性を要するために開業コンサルタントが必要で動物病院の設計は難解で専門性を要するため設計料は高く、動物病院の施工は煩雑で特殊建築で高コスト、という考え方が霞のように蔓延している不可思議な状況でした。ＡＣプランが動物病院の専門設計として設計及び施工を通して追求してきたものは適正な工事価格・多様なデザイン提案・動物病院性能の標準化・設計監理費用をオープンにすることです。加えて設計提案の素早い対応にも尽力してきました（素早い対応には今一歩届いていないケースもあります）。これらの目標に近づく過程で動物病院の開業当初から動物病院として最低限機能するよう建築上の建築設備、造作家具、仕上げ材等を抽出し、新規開業で無駄を極力省いた設計提案を行い、開業に要する建築施工費用を抑制し、設備や仕上材の標準化を図り、適正な工事価格を見極めようとしています。したがって、通常、動物病院に備わっているであろう、造作家具や吊戸棚、収納家具や引き出し等は極力排除し（設計者としては当初設計より入れておきたいにもかかわらず・・・）、特にワークゾーンに関しては機能的で経済性を追求した提案をしてきました。その結果、ＡＣプランの提案する動物病院、特に新規開業動物病院は限りなくガランドウに近づいてきていますし､これから提案するであろう新規開業動物病院の提案もガランドウに近づいていくことと思います。しかしながら我々の提案するガランドウ動物病院は動物病院として有効に機能するガランドウであることも一言申し添えて置きたいと思います。 |
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| ノブ動物病院 設計監理：コモダアトリエ |
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改修床材考察(2) | 2014年11月29日 | |
| 数年前からノンワックスタイプの長尺塩ビシートが各メーカーから市販されています。従来の長尺塩ビシートは仕上げ表面に柄や模様がプリントされているものでしたがノンワックスタイプの長尺塩ビシートはシート表面からシート裏まで同じ柄や模様となっています。従来の長尺塩ビシートには定期的にワックス掛が必須でしたが、ワックス掛の必要が無い床材ですから、床メンテナンスに掛かるランニングコストも少々削減でき、掃除も多少楽になるのではないかと想像できます。いくつかの動物病院で使用していますが、使用した動物病院の獣医師の先生からは従来製品よりも防汚及び防滑性能については概ね好評、動物病院床材としての使い勝手も良いとの意見が多いようです。加えて従来品よりも耐アルコール性能が向上し、動物病院の床としては従来品よりも適合しているものと思います。現状では色・柄等種類が限定されていますので､多様なデザインを目指す設計者にとっても動物病院の先生方にとっても選択肢は限られていますが、機能的には良い材料の一つと思います。 動物病院改修の際の床仕上材の一つとして、考えても良い材料と思っています。 |
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| かみみぞ動物病院 設計監理：村田三雄建築研究所 |
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改修床材考察(1) | 2014年11月28日 | |
| 動物病院の床仕上げ材料は長尺塩ビシート張りを選択する場合が多く、床のメンテナンス性能や床および床と壁の入隅を清潔に保ち清掃しやすいように長尺塩ビシート床を30㎝程度壁に巻き上げます。長尺塩ビシートの継ぎ目は溶接仕上げとして床下に尿等が染込まないよう施工を行います。長尺塩ビ巻上げ部分と壁クロス仕上の見切りはペットの爪が引っ掛かからないよう､曲面状の見切り材を取り付け動物病院での不慮の事故が起き難いようにします。 長尺塩ビシートも汎用品から高級品まで種類が豊富でグレードによって価格帯が分かれており、デザインに主眼を置いて選択するのか、機能に主眼を置いて選択するのか、あるいは価格で選択するのかにより､選定する仕上材料自体変わります。 無垢フローリングやタイル張り・石張り等はペットの排尿等を想定すると動物病院には使いづらい材料（使えない訳ではではありません）です。自然素材の仕上材料はデザインを引き立たせる素材の力と室内の雰囲気を方向付ける素材独自の効果があり、待合室で診療を待つお客様への心理的な癒し効果を期待できる側面も持っています。そのような素材を使用しづらい動物病院ですが、待合室を自然素材のような柔らかな落ち着いた雰囲気にしたい時には、少々キッチュな感じは否めませんが、フローリング風、タイル風、大理石風、鉄平石風、タタミ風等々長尺塩ビシートといえどもなかなか侮れない自然素材風仕上材料も揃っています。 |
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| Willどうぶつ病院 設計監理：村田三雄建築研究所 |
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テナント平面計画 | 2014年11月27日 | |
| 新規動物病院の作り方の一つを紹介します。必要諸室は獣医師の先生方の構想の中で、はっきりとした形になっていると思います。必要諸室の数もおおよそ検討はついているでしょう。必要諸室と部屋数を設計者に伝え基本構想案（平面図）の検討を始めますが、テナント開業の場合、テナントの大きさが既に決まっていますから、必要諸室と部屋数が希望通りテナント内に配することが困難なこともあります。設計者の職能としてはクライアントの希望を実現することが最低限の義務であり設計者としての能力の証しとの思い（勘違いとも言えます）が強いので､テナントの広さ如何に関わらず先生方の希望する諸室と部屋数を確保しようと全力で、脇目も振らず、希望諸室を入れ込んだ平面計画に脱兎のごとく邁進します。結果、必要諸室、必要部屋数は入ったものの窮屈な平面図を提案することになります。設計者側の動物病院設計の経験値が増加すると、基本構想案平面図を提出するにあたり、余裕のある平面図、言い方を変えると融通の利く平面図提案を選択するようになります。どのような建物にも共通していえることと思いますが、建物は“使いながら”“使われながら”軽微な使い勝手の変更ができ、軽微な変更を繰り返しながらお客様にも診療者側にも使い勝手の満足度が増幅していく余裕を持っていることが肝要と思います。 ＡＣプランでは200棟を超える動物病院の設計監理に携わってきており､テナント動物病院も相当数計画させていただいておりますが、似通った平面計画の動物病院はありません。動物病院の平面計画はすこぶる奥が深いと感じています。 |
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| どうそペットクリニック 設計監理：コモダアトリエ |
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悩ましき入院室扉 | 2014年11月25日 | |
| 入院室の扉は防音性能を持ち、扉を閉めると入院室内部の音がほとんど遮断される扉を期待している獣医師の方々へは非常に残念な報告になりますが､入院室扉には防音性能はありますが、扉一枚で入院室内のあらゆる騒音が外部に漏れないよう遮断できるほどの性能は有しておりません。動物病院が稼動する日々、入院室への出入りはかなり頻繁に行われるのが実体と思います。出入りが多く頻繁に開け閉めする扉が入院室扉の一機能です。ペットを抱きかかえながらも開け閉めしやすく、出入りし易い扉であれば入院室扉としての一機能は満足できます。出入りしやすさを考慮すると扉下に段差が無くバリアフリーであれば、出入りの満足度は上がります。入院室扉にもう一つ要求される機能は扉を閉じた際に入院室内の音漏れを防ぐ機能です。扉を閉じた際に扉枠と扉が密実な状態になり、入院室内部の音が外部に漏れないことが防音に関しては理想の入院室扉と思います。しかしながら入院室内のペットの鳴き声がまったく聞こえない状況ではペットの容態変化を判断する際の情報が欠落する心配もあります。出入りし易く、開閉し易く、防音に際しては高い性能を有し、ペットの容態把握を確実にするに当たっては入院室内のペットの鳴き声が洩れ聞こえる程度の入院室扉があれば、少々値段が張っても使用してみたいと私も思っております。 現状、そのような動物病院入院室に適合する理想的な扉は無いものと思われます。小さい部屋ながらも動物病院の入院室は建築的課題が多い場所です。 |
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| ダクタリ動物病院 品川ウェルネスセンター |
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駐車場を明るく | 2014年11月10日 | |
| 駐車場の広さや寸法については幾度か文章にしてきましたが、今回は駐車場の明るさについて考えます。動物病院の駐車場は広いに越したことはなく、1台当たりの駐車寸法も幅2.75ｍ×奥行き5.0ｍ程度以上取るに越したことはなく、駐車場内通路も6.0ｍ程度以上取れれば取ったほうが良いと思います。駐車台数も少ないよりは多いほうが動物病院に来院するお客さまは増加すると思います。とは言うものの日本の地代は高く、限りある土地に動物病院を計画し広い駐車場を計画できるケースは少ないのが現状です。 駐車台数や駐車寸法は土地の条件やテナント駐車場の条件の中で遣り繰りして行くしかありませんが、駐車場を使いやすく安全にするためには夕方や夜でも明るい駐車場を目指します。動物病院の立地条件が閑静な住宅街にある場合や風致地区等の用途地域にある場合は駐車場の照明計画は近隣に迷惑をかけないよう慎重に進めなければなりません。商業地域内に立地する場合でも、周囲から突出して豪華絢爛に明るくする必要はありませんので、夜間の駐車場に適した安全に配慮した駐車場の照明計画を進めましょう。 |
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| きびきの動物病院 設計監理：アトリエ テクト |
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接客の建築手法 | 2014年11月8日 | |
| 受付カウンターは待合ラウンジのデザインを方向付ける主要素の一つですが動物病院の機能としては接客の場です。広い意味では受付カウンターを含む待合空間と診察室が動物病院の接客の場と考えています。格式高くなり過ぎず、上品さを保ちながら、派手に設えることなく、飽きのこない質の高いデザインを目指し、動物病院のコンセプトを表現しつつ待合ラウンジの中で突出せず控えめにもならずに待合の場にあることが自然であるような受付カウンターができれば最高です。 接客の際のお互いの表情が明るく素敵に見えること／ペットのじゃれ付きに対しての強度／ペットをじゃれつき難くする間接照明配置／お客様のバックが置ける荷物置き台／お客様とペットが利用しやすいリードフック／複数の方に接客対応できるカウンター長さ／防犯上有効な受付カウンター奥行幅／受付機能に順応したカウンター素材／待合ラウンジに死角のない場所への受付設置／薬局・カルテ庫・コピーへの明快な動線処理／診察室へのアプローチの良さ等々、受付カウンターに要求される事柄も書き出すと多々あります。 建築手法を最大に駆使して、受付機能の充実をはかることで受付のハード面を底上げすることは建築設計では可能ですが、経済的な理由や時間的な制約で機能的・意匠的な希望や要望がすべて叶うことの方が数少ないことも事実です。機能やデザインが十二分でなくとも接客において最も大切な基本はお客様に対する“笑顔”と感じます。 |
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| 押田動物病院 設計監理：村田三雄建築研究所 |
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的外れ | 2014年11月7日 | |
| 一般動物病院の顧客ターゲットは広げても市町村単位、新規動物病院の初期ターゲットは絞り込むと町内会単位、おおよそ動物病院を中心として半径１㎞程度が常識的な顧客層と考えていいと思います。 動物病院を開業するにあたりホームページは作った方が良いのも事実ですが、初期ターゲットの絞り込み、顧客層の掘り起こしのための誘客範囲を明確にしておくことも大切なことと思います。 ホームページは不特定の方々に見られる可能性はありますが、新規開業動物病院のホームページがペットを飼っている日本中の人々に見られるホームページにしたところで、ホームページを見たすべての方々が動物病院に来院する可能性はゼロに等しいと思います。当たり前のことですが1億人を相手にするホームページを多大なお金を投入してまで作成しても、作ったところで効果は薄いと思いますしさらに強い口調で言えばつくる意味がないでしょう。 軽自動車程度で十分用が足りる近所のスーパーへの日常品の買い物に高級外車を使うことはステータス誇示の欲望を満足させることはできますが、ガソリン代も余計にかかり、駐車場への車入れも苦労し、買い物袋からの水漏れで高級革張りシートを汚してクリーニング費用がかかる等々無駄の多い出費が嵩むばかり、1億人を相手にしたホームページも無駄な費用が嵩むばかりで、動物病院利用を必要としている人に必要な範囲の情報を適格に伝えることにはなりません。 動物病院を利用するお客様は痒いところに手の届く足回りの良いサービスを期待していると思います。地に足のついた動物病院運営を地道に続けることが誘客に繋がると考える次第です。 |
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| そよかぜ動物病院 | ||
入院室：給気口を考える(2) | 2014年10月4日 | |
| 入院室の給気口が検査室や処置室に面する場合、入院室給気口からの音漏れ対策を講じなければなりません。現状で給気口からの音漏れに対する万全の対策や建築上有効なディテールはありません。（予算を省みずに音漏れ対策を検討すればそれなりの防音は可能と思いますが・・・）入院室への良好な空気の流れはつくりたいが入院室からの音漏れは防ぎたいという命題自体がそもそも都合の良いお話に類する事項と思われます。 音漏れは完全には防ぎようがありませんが、音漏れ音量を軽減する方法はあります。給気口は壁に取り付けますから給気口内には壁圧分の厚さがあります。給気通路内に音を軽減する防音材を挿入すると入院室からの音は多少軽減されます。 騒音を無くすためには、遮音材や防音材を使用して少しずつ音を減少させていく方法を取らなければなりません。防音や遮音を正面から考えるのではなく、段階的に減音効果を高める工夫を重ねていくことで減音効果が出てくるものです。 |
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| ほっぺ犬猫病院 設計監理：アトリエテクト |
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入院室：給気口を考える(1) | 2014年10月3日 | |
| 入院室外部から入院室内に空気を引き込む位置の選定も悩み多きところです。入院室が外壁廻り壁に面し、外部から入院室内に直接外気を引き込む場合、入院室内と外気の気温差が大きい季節には入院室内の温熱環境が外気温に左右されるので、室内気温調整が不都合な状況になります。梅雨時や秋の長雨時期の外気は湿度が高くなるので外気の引き込みで入院室内の湿度が上がり不快な状況を呈します。外気を直接給気する場合は熱交換型の換気扇を使用する方法もありますが、熱交換型換気扇を使用する場合は、入院室内換気とは別に動物病院内の全体換気の方法も考慮して院内換気を検討する必要があります。 動物病院面積が50坪未満であれば､入院室やトイレを動物病院内空気の排気口と想定して動物病院全体の換気計画と合わせて入院室の換気を想定した方が換気計画と温熱計画が容易になります。入院室の排気口である換気扇位置を院内空気の最終出口と位置づけ院内換気を計画すると院内の空気の道筋がシンプルになり換気計画を推敲しやすくなります。 入院室に院内の空気を引き込む給気口は入院室への新鮮空気の取り入れ口であると同時に入院室からの音漏れの場所にもなります。入院室からの音漏れがしても問題がない場所でなおかつ院内の適温の空気が流れ込む場所を見つけ出して入院室の給気口位置を選定できれば給気口の開口位置としては“はなまる”です。 |
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| 西馬込動物病院 設計監理：コモダアトリエ |
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入院室：給気と排気は対角線(2) | 2014年10月2日 | |
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| 文章で説明しても難解になるだけかもしれませんので、模式図を添付します。給気口は模式図の左下、排気口の天井換気扇は模式図の右上になります。給気口がステンレスケージ前面と同一面に取り付けられている状態ですので換気扇の位置は模式図の手前側天井に取り付けます。入院室内の空気の流れはケージ前面左下から右上方向に室内を対角線上に横切り、ステンレスケージからの臭気を取り込みながら排気口へと流れていきます。入院室内の空気の流れに引き込まれるように室内の空気が空気の道に吸い寄せられて入院室内の空気を排気し新鮮空気を給気口から取り込みます。 | ||
入院室：給気と排気は対角線(1) | 2014年9月29日 | |
| 一般的に入院室は大きな部屋ではありません。畳の寸法で換算しても2～4帖程度の寸法です。入院室内にシンクや汚物流し等を備える動物病院もあり、診察台を置く場合もありますが、入院用ステンレスケージのみが置かれている入院室が多数をしめます。入院室の臭気発生元は入院するペットの体臭や排泄臭で､排泄物が床の隙間に染込んだ場所からは継続的に臭気が発生します。ケージ内で使用するタオルにも臭いは染込み、洗濯を繰り返しても少量の臭いは残ります。洗濯後のタオルを入院室に収納する場所から臭いが発生している場合もあります。入院室の臭気発生元になるような部屋の入り隅や出隅の仕上げ材を建築的に適切に処理すること、床や壁の汚れが付着する箇所の適材使用により臭いの元を作らない施工方法を採用することが入院室内装の基本です。加えて入院室内のメンテナンスと清掃の継続も臭いを抑えることに繋がります。しかし、上記の項目を継続しても日々臭いは発生しますから､入院室臭気を可能な限り効率よく排気する方法を採用しなければ、入院室に臭気が溜まっていく状況は改善されません。空気の流れは目に見えるものではありませんが、給気から排気に至る“空気が流れる道”を想定して給気口と排気口位置を選定します。 入院室を単純な長方形と想定した場合、給気口と排気口の位置関係は対角線上に設置することが基本になります。天井に換気扇を取り付ける場合は換気扇が排気口ですから給気口は床に近い位置に取り付けます。換気扇が天井の右隅に位置する場合の給気口の位置は床に近い壁の左隅になります。給気口から排気口に至るまでの経路上に個々のケージから発生する臭いが流れるように空気の道をつくることを念頭において給気口と排気口の位置を選定することが入院室環境維持を良好に保つことに繋がります。 |
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| リンデン動物病院 | ||
入院室：給気と排気(3) | 2014年9月27日 | |
| 給気と排気の仕組みは難しいものではありません。しかし入院室内の汚染空気を“効率よく”“確実に”“臭気溜りを作らず”“適度な速さ”で“一定量”を排気するには､少々検討が必要です。 入院室内の空気が1時間に複数回程度入れ替わることを想定して換気扇の排気容量を選定し、換気扇と空調機、給気口の各々の配置を検討し、給気口からの音漏れを最小限に抑え、換気扇から外部への音漏れを抑制し、排気経路の検討と近隣に迷惑をかけない排気位置を検討する。加えて、給気口からの流入空気が臭いが少なく適度な温度を保っている状態をつくらなければなりませんので、設計者としても悩み多きところが多々あるのが給排気の設計です。 換気扇は強弱切り替えが可能で24時間換気機能があるもの、換気扇から排気口までのダクトは外部への音漏れ防止のために2曲がり以上屈折させ、ダクトには防音ダクトを仕込み、最終の出口となるベントキャップは防音仕様を装着する。外部への音漏れ対策としては上記で用が足りると思われます。 給気口側の音漏れ対策については、いずれどこかの折に触れたいと思います。 |
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| くにか動物病院 | ||
入院室：給気と排気(2) | 2014年9月26日 | |
| 臭気が滞留しないようにするためには外部に面する部屋の壁に窓を設置し室内の臭いを窓から出せばよいのですが入院室の場合、殊に犬の入院室の場合は臭いと共に犬の鳴き声という騒音も室内から室外へ出て行きますから、窓開閉による換気は入院室から外部への臭いと音の駄々漏れ状況になってしまい、近隣住民からの苦情と抗議に晒され、動物病院運営に悪影響を及ぼす可能性があります。防音性能の高いサッシュを入念に施工したところで、室内空気の入れ替えには窓開閉が必須ですので、入院室が空いた折に窓の開閉を行い換気することになりますので、現実的な解決方法ではありません。 窓開閉による換気に問題があるのならば換気扇による機械換気の選択が俎上に登ります。換気扇は室内の空気を室外に排気する機械ですが、換気扇で排気する空気量と同量の空気が室外から室内に入ってこなければ有効な換気は期待できません。入院室から排気する汚れた空気と同量の臭いの無くある程度新鮮で入院室内温度と差の無い空気を入院室内に給気し、常時、空気をゆっくりと一定方向に流動させながら新鮮空気と汚れた空気の入れ替えを行うことができれば、入院室の環境は適切に保たれます。換気が潤滑に行われないからといって大きな容量の換気扇をつければ匂いがなくなるという単純なものでもありません。容量の大きな換気扇は入院室内の臭気を排気するのと同時に適切な温度の空気も室外に排気します。排気する空気と同量の新鮮空気と室内空気との温度差が大きい場合、換気によって室内空気は新鮮に保たれますが室内温度は入院室の適温からは程遠い状況になり、入院室の環境は損なわれます。 |
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| 押田動物病院 設計監理：村田三雄建築研究所 |
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入院室：給気と排気(１) | 2014年9月25日 | |
| 入院室には臭気が溜まります。野放しにした臭気は動物病院内にあふれ出します。動物病院のワークゾーンやクライアントゾーンに臭気が広がる前に入院室に溜まった臭気は外部に排気しなければなりません。排気直後は臭いがなくなりますが、入院室を稼動する限り時間の経過とともに再び臭気が発生し入院室内に溜まります。空気清浄機を設置している動物病院もありますが、空気清浄機だけでは入院室の臭気がなくなることは期待できません。入院室清掃やケージ掃除を頻繁に行うことによって臭気を軽減し入院室を清潔に保つことはできますが臭気抑止はできません。空気清浄機も入院室清掃もケージ掃除も常に行わなければなりませんが、入院室からの臭気は出るものと覚悟して対策を考えなければなりません。入院室の基本的な臭気抑制対策には入院室内の給排気計画と動物病院全体の換気計画を考えねばなりません。入院室の換気は一定量の空気を常時継続換気する方法をとることで入院室に臭気を滞留させないことを目指し、臭気溜りを入院室に発生させない状況にすることで入院室内の壁や天井に臭いを吸着させないように計画します。 |  |
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| 押田動物病院 設計監理：村田三雄建築研究所 |
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月々の１万円 | 2014年9月22日 | |
| 毎月1万円を貯金すると1年間で12万円になります。この貯金を10年間継続すると120万円になります。120万円溜まると手に入れたいもの・欲しかったものを買えるなあと思う方もいると思いますが、10年掛かりで溜めた120万円は建物の外部補修に洩れなく使用して頂きたく、月々1万円の貯金をお勧めします。戸建動物病院を新築し動物病院開業に漕ぎ着けその後順調に客足も伸びてくると、開業当初手に入らなかった医療機器や資金不足であきらめた造作収納が欲しくなります。必要な機器や収納は買い揃え、お客様への医療サービスを充実することは動物病院にとってもプラスになります。自らの欲望をある程度満足させることも精神の健康維持に必要な場合もあると思います。最低限の物欲は満足させておかないと医療行為もままならない場合、欲望に素直になることも時には必要と思います。 動物病院内は毎日掃除を行い、入院室は入院ケージが空いた際には消毒・清掃を行い日々院内の環境を整えることを怠りませんが、動物病院外はメンテナンスが不要と思い込む､あるいはメンテナンスしたほうが良いがついつい後回しにして手入れをしない状況のまま放置されていることが多いのが現状です。建物外部に関しては毎日の掃除が必要なわけではありませんが、1年に数回程度は屋根や外壁の清掃を行い雨樋や排水口の点検はすべきです。通常の外壁や屋根、サッシュ廻りのシーリング材や固定金具等は築後10年程度で塗り替えや張替え・打ち替えを前提として建物はつくられています。 10年に一度の建物外部メンテナンスは外壁・屋根の再塗装、シーリング材の打ち直し、金具等の点検と締め直し、排水溝の点検と交換等を行います。この費用が現状では100万円程度かかりますので、10年間、月々１万円程度の貯金を続けていただければ、建物補修の際に無理なく予算を支払える状況になります。月々１万円貯金、動物病院開業時に招き猫の貯金箱を購入し１日330円程度を入れていくと実行可能です。 |
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| おくの動物病院 設計監理：アトリエテクト |
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正しいケージの置き方 | 2014年9月20日 | |
| 正しいと言うと語弊がありますが、設計した動物病院の状況を鑑みると間違いではなさそうだと思われる一例について書きます。 ステンレスケージは動物病院開業時にほとんどの動物病院で入院室に設置しています。一般的に使用されているステンレスケージの寸法は奥行き710㎜程度、横幅630㎜程度が基準寸法になっているようです。ステンレスケージを置く場所が開業当初より決まっている場合はステンレスケージを設置する床部分は150～200㎜程度立ち上げて、立上げ部分にステンレスケージが載せられるように設計します。床立上げ部分の寸法はステンレスケージ寸法より20mm程度大きめに作っています。ステンレスケージを設置する段階でケージ位置を調整するのですが、台が大きめにつくられているので前後左右のどの位置を基準にケージを設置するかはケージを設置する医療業者の判断に委ねられています。設計者としてはステンレスケージ前面と建築で造作した下台の前面が面一になるように設置されることを願い、望んでいるのですが、ステンレスケージを設置する業者によってはステンレスケージの背面側を基準にケージを設置するためにステンレスケージ前面の下に１段突起が出て小さな階段状態になるよう据え付けられることがあります。 この状態でステンレスケージを置かれると多々困惑する状況が動物病院を開業した後に露呈します。困惑する状況の一つ一つを説明することは割愛しますが、ステンレスケージ前面と下台の前面は面一（平らになること）あるいはステンレスケージが下台よりも僅かに前面に出た状態で設置して欲しいと思っております。 |
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| 阿佐ヶ谷動物病院 設計監理：コモダアトリエ |
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受付カウンターVS付箋紙 | 2014年9月14日 | |
| 身に覚えのある方も身に覚えが無くともどこかの動物病院で見たことがある方もあるいはご自身の動物病院の受付カウンター裏に立つと受付カウンター天板の木口側に所狭しと張られている付箋紙、見覚えはありませんか。受付カウンターの木口見付では納まりきらずに受付コンピューターのモニター脇や作業台の天板・天板脇にまで侵食する付箋紙の光景を幾度と無く目にしております。 忘れてはいけない事柄や薬の注文、相手先の電話番号等が書き込まれランダムに張られた付箋紙乱立の景色は、お客様には決して見せられるものではありません。受付カウンター裏は働く方々の情報掲示板の様相を呈しています。 どうせ付箋紙を張るのならば付箋紙を張る場所を明確にしておけばよいのです。しかも付箋紙を張るのに最適で、いつでも目に付きやすい場所で、付箋紙が邪魔にならずに作業効率を落とさず受付の印象を損なわない場所に付箋紙を思う存分張っていただければ設計者としても本望というものです。さてさて、付箋紙の安住の地に最適な場所は何処・・・でしょうか。 |
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| 桜花動物病院 設計監理：アークビジョン |
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何も置かない受付カウンター | 2014年9月11日 | |
| くどいと言われそうですが、受付カウンターについての続々編です。受付カウンターは物置ではありません。名刺や募金箱や時計やパンフレットや歯ブラシや試薬品や試供品を置く場所ではありません。動物病院側の都合による目論見はすべからくワークゾーンで解決することであり、さもなくばクライアントゾーンから見えない場所でさり気なく解決すべきことであり、クライアントゾーンは接客空間として、お客さまの心地よさを優先して様々な設えを考えるべき場所です。受付及び受付カウンターは動物病院の顔です。クライアントゾーンのメインオブジェです。女性で例えると起き掛けの顔や風呂上りのスッピン顔とは別物の外出時や恋人と食事をするときの完璧な化粧を施した時の勝負顔です。美しく仕上られた動物病院の顔に乱雑にモノを置くことや手当たり次第にお知らせを張ることは厳禁です。受付カウンターは物置やインフォメーションボードの代役として動物病院につくっているわけではありません。動物病院開業を計画する際に受付カウンターは待合空間のイメージを特徴づけ方向付けるデザインの核となる造作物です。動物病院に来院されたお客様を迎える設えとしてつくられている受付カウンターは、動物病院の都合でモノを置いたりポスターを貼ったりする場所ではありません・・・とかなり強気の受付カウンター談義でした。 |  |
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| さかきペットケア 待合室 受付カウンター |
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受付カウンター奥行き | 2014年9月10日 | |
| 受付について、続きです。受付カウンター高さは1000㎜～1100㎜程度の高さにしています。受付カウンターの内側は通常カウンター状になっており受付での作業をする作業台として機能しています。作業台にはパソコン、電話、レジスター等々が置かれ、作業台の下にはプリンターや釣銭機、ルーター等を入れるボックスが置かれます。 作業台高さは700㎜程度とし、椅子での作業がしやすい高さに設定します。作業台奥行きは500㎜～600mm程度、上部の受付カウンターが庇のように作業台にかぶるような位置関係になります。 受付作業台は概ね煩雑な状態を呈していることを考えれば、お客さまの視線に入らない状況に置きたいと受付で作業される方は常々思っていることと思います。受付カウンター上部から作業台を覗かれるのはプライベートな部分を垣間見られているのに近い気分ではないでしょうか。 作業台を覗かれないために受付カウンター高さを高くする方法もありますが、受付カウンターを1200㎜以上に設定すると背丈の低い方は受付カウンターが大きな障害物になり、受付としての機能を失います。小さなおばあさんは受付カウンターの向こうで飛び跳ねながら話をしなければなりません。受付カウンター高さを適度に維持して受付を覗かれない方法は受付カウンターの奥行きを大きくする（深くする）ことで解消します。受付カウンターの奥行きを450㎜以上確保すると概ね待合側から受付カウンター越しに作業台の状況を見ることが難しくなります。受付カウンターを作り変えるときはお試しあれ・・・。 |
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| ダクタリ病院 品川ウェルネスセンター 待合室受付カウンター |
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シンプル派の方は | 2014年9月9日 | |
| 業務利便性を優先すると受付カウンター廻りには多くの機器と書類、メモ、電話、FAX、コピー等が溢れます。動物病院の場合カルテ棚も受付カウンターのそばにあることを望まれる先生方も多数おります。商業施設というものは使い勝手を考える上で常に二通りの方向性があります。サービスを提供する側とサービスを受ける側の使い勝手と使いやすさ・居心地の良さは建築上デザインの表現として背反する状況を作り出すことがあります。受付カウンターの背後や横にあるカルテ棚は医療提供側にとっては機能上そこに有り得るべきものとして認識されていますが、医療サービスを受ける側にとっては受付にあろうが無かろうが大きな問題は無いものです。 動物病院の医療を提供する側にとって、受付カウンター廻りに事務機能を補助する機器や道具が揃っていることはお客様にとってもサービスを提供する側にとっても有益でお客さまの待ち時間や待機時間を短縮し、ストレスを縮減でき得る正しい解決であろうと考えます。受付での接客に必要な機器や道具は受付廻りにあることが望まれます。ところでカルテ棚は受付に置く（ある）必然性があるでしょうか？カルテ棚が受付にあることによってお客さまが満足し喜ぶ要因はあるのでしょうか。 待合室は心地好い空間をつくること、時間の経過を感じない空間を提供することに力を注ぐべきと考えます。待合室の設えに贅を尽くせといっているのではなく、お客さまの視点に立って待合室での診察順番をお客様がここち良く待てる空間を考え実現することが動物病院をつくる上で考えなければいけない事柄であると思っている次第です。 受付カウンター背後の雑多なものを無くして、シンプルな受付空間を提案することも接客空間としてのデザインと機能が向上するのではなかろうかと折々考えている次第です。 |
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| ダクタリ病院 品川ウェルネスセンター 待合室受付カウンターと水槽 |
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待合室から隠すもの | 2014年9月8日 | |
| 開きドア上部の吊元側にドアチェックあるいはドアクローザーと呼ばれるドア開閉を補助する機器が設置されています。人力で開けたドアを閉めるための装置として取り付けます。世の中が便利になってくると人間の所作は単純になります。室内に入るためにはドアを開ける行為が必要で、ドアを開ける行為が主目的ではなくともドアを開ける動作については自然に体が反応し動くようになっています。ドアを開けて目的の空間に入ると最終の目的が最優先事項になってしまい､最終目的を早急に片付ける方向へすべての意志と行動が集約され、残念なことですがドアを閉める行為は忘却されます。故に動物病院の風除室の開き戸や診察室へ出入りする開き戸にはドアチェック（開いたドアを自動で閉める装置）を取り付けることになります。（因みにACプランでは診察室の待合室出入口に開き戸を取り付けることは多くはありません）。客用トイレの開き戸にもドアチェックを取り付けます。トイレですので待合室からトイレに入って用を足す必要に駆られていてもドアを閉め忘れて用を足す方は露出志向の強い方以外そうそういないと思いますが、用を済ませてトイレから待合に出た際にドアを閉めない方は結構おられることと思います。 開き戸上部のドアチェックはドアの両面、どちらにも取り付け可能です。よってドアチェックの取り付け位置は極力お客様から目に付かない位置に取り付ける方が、お客様からの視線お呼び室内の雰囲気がシンプルになります。機能的に必要なものでも簡単な気配りで目立たないように設える方法はあります。些細なことですが、機能的で上品な空間をお客様に用意することも大事なことと思います。 |
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| 大森どうぶつ病院 設計監理：アークビジョン |
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動物病院開業考14・開業するには・・・ | 2014年9月7日 | |
| 動物病院開業考も14項に入ります。近年の動物病院設計の動きとしては動物病院新規開業に加えて既設動物病院からの移転や改修・リニューアル設計の依頼も増えてきています。関東以外の地域の動物病院設計を手掛ける機会も増えてきています。 動物病院開業考14では動物病院改修やリニューアルを計画する時、現状動物病院への不満を解消しお客様への医療提供を充実させる改修方法や改修提案を模索して行くことを考えております。動物病院移転に際しては既存動物病院からのレベルアップをはかる建築的な志向も考えて見たいと思っております。 2013年春から2014年の現在に至るまで建築費用は微増を続けています。最近、提出される動物病院工事見積金額は2013年春に比較すると20%程度の増額傾向を示しています。建築費用の上昇要因は公共事業の増加による職人不足や景気上昇の影響、流通費の増額、輸入資材の費用上昇等、もっともらしい理由をたびたび耳にしますが、現場の職人に話を聞く限り、職人不足が声高に叫ばれている割には職人の受け取る給料が上がっている様子も無く、建築資材の金額上昇も5～10％未満の様相です。 建築業界は依然、旧い体質を温存しています。建築価格を上昇させたい人々が建築業界の中には山ほどおり、あぶく銭を稼ごうとする山師のような人々も多々存在します。適正価格を見極めることが難しい状況の中で適切な判断を求められる厳しい状況はしばらくは続いていくでしょう。 |
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| ジャンボ動物病院 設計監理：ジュンメ建築設計事務所 |
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| 掲載写真は動物病院設計ＡＣプランで設計監理した動物病院の写真です。 | ||
